title 見える見えない VISIBLE/INVISIBLE

 ● 制作 creation

見える見えないワークショップ 〜ふれてつくるやきもの制作〜

日時2016年 11月29日(日) 14:00〜
場所芸術の森クラフト工房



目の不自由な方と一緒にやきものを制作するワークショップを芸術の森クラフト工房にて開催しました。今回は抽象的な生命力そのものをテーマに設定し制作して頂きました。器などの日用品を制作はある方は数名おりましたが、具体的なモチーフの完成形を頭の中で強くイメージして、そのイメージに向かっていくというよりも、何かわからないながら、土をこねくり回しながら一つの形に向かっていく方が創造的だと考えています。見える見えないに関わらず、モチーフを限定してしまうと、個々の中で具体的な完成系というかイメージが先行してしまい、どうしてもそれにとらわれて、自分の中で生れる理想型と比べてしまうのではないかということが想像されたからです。いかに上手くゴールに向かうかという尺度で、「思ったより上手くいかない」で停滞してしまうよりも、先が見えない何かに向かって、「作る⇄見る(触って確かめる)」を行ったり来たりしながら創作することを体験してもらいたかったというのもあります。



 また、「参加者間のコミュニーケーションの場がほしかった」という意見もありました。個々のインタビューはしたのですが、お互いの体験を共有するというところまで時間をとれなかったのは悔やまれます。鑑賞会ではこの振り返りや共有が重要だなと感じました。
 「exhibition」で詳しく触れますが、作り手にとっては「作る=観る」ということをあらためて考えるため、鑑賞者にとっては、他者の目になってみることを体験してもらうために、3月に焼き上がりの作品を展示したいと思います。

>「exhibition 」展示のようすはこちら



 もうひとつ重要だと感じたのは、日頃目の不自由な方を対象にアートのプログラムを実施したり、サポートしている方の反応です。日頃はある種うまくいく達成感を与えて自己肯定感を高めることや、訓練としてとらえて熟達することなど、テクニックに主眼に置いて、他の事例を参照しながら実施しがちな創作活動も、自分がやってみることで、いろいろな発見があったということでした。福祉の目線で言えば、見える人、見えない人の間に、このような実体験を伴ったサポートの力が必要だということもあるのだと実感しました。また、目隠しをして制作した晴眼者の皆さんにとっては、一度も見ずに何かを作るという初めての体験だったので、焼き上がりで初めて文字通り「見る」ことになり、イメージの差異を楽しむといった楽しみ方を発見できました。
 最後に、細かいところまで丁寧な対応をして頂いた芸術の森クラフト工房の皆さん本当にありがとうございました。




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