「まぼろしのいえ」展の導入部としてエントランスに展示。友達のような親、親を放棄する親たち。DV。閉じられた孤独な核家族。近代以前の「いえ」における父権的な要素が形骸化し、現代社会の「家族＝いえ」の崩壊を示唆する。ライオンのドアノッカーは、来客を知らせる機能を持っているが、このノッカーからはその機能が剥奪されている。半透明のライオンは形が歪み、型を取った本体から剥がしとったエイジングの塗料が、権力の名残をわずかに残すように浮かび上がっている。宙吊りにされたノックの音が響く事はない。

ぐにゃりとゆがんだドア。
閉じられたカーテン。
明かりは見えない。
勇気を持って訪ねてみよう。
けれど
彼らに私たちの訪問を知らせる術はもうない。

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