INSTALLATION


「BARB バーブ」
GU aka TETSUSHI TOMITA ART EXHIBITION

2011年2月5日(土)〜2月13日(日)
@ salon cojica サロン・コジカ
北海道札幌市中央区北3条東2丁目 中西ビル1F

 

平和な日本。それが当たり前になった21世紀。戦後という言葉が遠い世代。私達にとって戦争は「重すぎる話題」になりつつあります。戦争責任への感覚も希薄になっています。軍事力を前提とした内戦やテロリズムが世界中で起こっています。当事者ではないという意識が、日本が平和であるということをねじれたものにしている気がします。どうしても掴みきれない「戦争」への宙ぶらりんな思いを5つのテーマで作品化しています。私達の生活に形を変え深く入り込んだ戦争。もしくは隠されている暴力性を、刹那的なパーティーのように、カラフルで表面的な「軽い」空間によって表したいと思いました。これらの作品群はどのように戦争を扱っていいかわからない僕自身の、そして、もしかしたら皆さんの答えのない問いかけです。

WALL 壁


戦争を機に飛躍的に発展した科学技術を意味する。それらは見えない形で家庭にもまぎれ込んでいるが、装飾を施すことによって、あいまいにされている。壁は軍事力によって遮断するあらゆる境界を意味し、ブルーのタイル画のように壁面になにげなく展開されたマルチプルな平面は、植物のモチーフにまぎれる自衛隊の「陸・空・海」のミリタリーパワーを象徴する。


BARB 針


近代の陸上戦において開発された鉄条網は、戦車の登場と、空軍主体の戦略にシフトしたことによって、戦時下ではその役目を終えたが、動物や人の侵入や逃亡を防いだり、アイソレートを象徴するものとして現在でも日常的に目にすることができる。ここでは文字通り人と人を結ぶコミュニケーションを象徴する白いリボンに、鉄条網のパターンを直接ペイントして、空間全体に展開する。25ヤード(22.86m)という距離は、US ARMYのM16による射撃訓練の標準距離である。的は壁掛け時計で表現し、シューティングポジションには、射撃のマニュアルをペインティングした平面作品を展開した。銃と時計、鉄条網とリボンなどの素材は、「愛と憎しみ」のような、戦時下のコミュニケーションにおけるアンビバレントな感情を強調している。

 

CAMO 迷彩


“CAMO”はカモフラージュの略語である。敵の目から逃れ、欺くための技術である。自然の風景を鳥瞰し、抽象化したパターンであり、近代の「M81」や「迷彩2号」などのアナログなものから、現代は「MAPART」などのドットパターンとなり、デジタルイメージによるメディア的な、もしくは身体性を伴わない戦争を想起させる。ここでは、都市に隠れることをコンセプトに、鮮やかすぎて見えない状態、めまい(dazzling)を起こす「色」ではない迷彩ペインティングを提示する。ミラーボールに投射する映像作品として光のカモフラージュとしても展開した。


CODE 暗号


IT技術は軍事情報・戦略インフラとして開発された。記号はルールがなければ成立しない。言葉とは本質的に暫定的なものである。アジア圏独自の携帯用認識コードを、記号論的アプローチで機能する絵画を描く。言葉の持つ記号性と意味の幻想をあぶり出す。作品はラテン語でそれぞれ抽象概念である「国家」、「愛」、「毒と薬」、「死」を意味する。

DRAB 虚


”DRAB”は「くすんだ」を意味する形容詞であり、Olive Drabは、第一次大戦アメリカ陸軍が兵器に使用した象徴的な色である。
黒と黄を1対1で混合して作られ、ヴェトナム戦時下では反戦のシンボルとして定着した。ここで重要なのは、日常に深く融け込んだ日用品や家具に、一色のみで覆うように塗布することで、表面的な装飾を取り去られ見えてくるものである。翻って政治、宗教、美術、ファッションがくすむほどに混色され、ぬり込められた日本の状況を両義的に浮かび上がらせる。観覧者に参加を促し、オブジェクトを加えていくWSを会期中に行う。


夜のプロジェクションについて

会場のサロン・コジカは夜遅くまでオープンしていて、大きなはめ殺しのガラスがある。ここから回転するミラーボールを通して、室内から路肩の積もった雪の壁に映像投射を行った。こうすることによって様々なレイヤーで反射や陰影が生まれ、ゆるやかに中と外の空間をつなぐ役割をする。カラフルな色面によって乱反射した光は華やかなパーティーのようだが、投影されるのはやはり軍事目的で使用されたカモフラージュである。

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